-日本語コラム-

クリスマスホリデー

新年、明けましておめでとうございます。本年もコロラド日米協会をよろしくお願い致します。さて、皆さんはどんな休暇を過ごされましたか?私はDenver Zoo Lightsでイルミネーションを観たり、Colorado SymphonyやDenver Philharmonicのクリスマスコンサートを鑑賞したり、コロラドらしいクリスマスを満喫しました。また、イブには友人家族のパーティーにも参加させていただきました。そこで、自分の欲しいギフトを奪い合うWhite elephant gift exchangeを初体験。White elephantを直訳すると「白い象」になりますが、英語では「無用の長物=ムダなもの」という別の意味があり、その経緯をたどるとタイの昔話に行き着きます。昔タイの国王が、気に入らない家臣に白い象を嫌がらせで贈りました。家臣は維持費の高いその象を手放したかったのですが、白い象は神聖だとされていたため、それもできず…そんなことから、いらないプレゼントのことをWhite elephantと言うようになったそうです。自分の用意したプレゼントが不人気な場合や、大の大人たちが奪い合う様子は少々世知辛いですが、遊び心溢れるアメリカらしいゲームでした。

一方、日本のクリスマスは、家族より恋人と過ごす日というイメージが根強いです。そのため、パートナーのいない人々は直前になると「また今年もクリぼっち(クリスマスでひとりぼっち)」とため息を漏らすこともしばしば…。そして、これもまた日本独特ですが、クリスマスの定番メニューと言えばケンタッキーフライドチキン。その理由には、企業の販売戦略や七面鳥が手に入りにくいという背景がありますが、何はともあれ、ケンタッキーのCMソング「すてきなホリデイ(竹内まりや)」がテレビで流れ始めると、多くの日本人がクリスマスの到来に心を躍らせます。

皆さんの休暇の思い出も、次回お会いした時にぜひ聞かせてくださいね。

photo from: fashion-press.net

標高1600ftの秘湯

先日、Rainbow Hot Springsへハイキングに行ってきました。なだらかとは決して言えない自然豊かなコースを歩くこと約3時間。川の一角に、石で区切られた直径2メートルほどの温泉が現れました。美しい川の流れを聞きながら、雪化粧した山並みも一望でき、こんな奥地に温泉を見つけた先人に感服するばかりでした。”温泉”と言えども、その様子は日本人の私がイメージする温泉とは全く違うものでした。そこには脱衣所も洗い場もなく、草むらで水着に着替えました。浴槽の底には泥が沈殿しており、草木も混ざっています。一番の難関は、心臓が止まりそうなほど冷たい川を渡らないと、温泉にたどり着けないことです。そして、たどり着いた温泉の温度は35度のぬるま湯。多少体は温まりますが、戻りの渡河でまた凍りつきます。すでにご理解いただいたと思いますが、日本人の想像する心地良い温泉ではありませんでした。その一方で、「よし、行くぞ…3 2 1 GO!!!」と覚悟を決めて温泉に出入りし、川でヒーヒー!と叫んでいた自分の姿を思い出すと、笑いがこみ上げてくる最高の冒険でした。暖かくなったら、皆さんもぜひ訪れてみてくださいね。

バイカルチュラル教育
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つい最近、あるアメリカ人の若いご夫婦からこんな質問を受けました。「どうやったら、子供をバイリンガルに育てられますか?」というもの。長年、この課題にいろいろな思いを巡らせてきた私には、伝えたいことが山ほどあります。そこでまず思うのは、どうやったらの答えを出す前に、何のために子供をバイリンガルに育てたいかを考えてほしいということ。もし両親が2つの母語を持つ家庭であれば、子供がその両親の家族や友達と意思疎通ができるようにバイリンガルに育てたいと思うのは自然でしょう。それ以外にも、グローバル化した現代社会においては就職の可能性が広がる、社会的視野が広がる、人間関係が豊かになるなど色々な目的が考えられるでしょう。これらの目的を明確にしておくことは、その手段を考える上で大切だと思います。

では、次にその手段です。ポイントは二つ。子供が幼少のころから日常的に2か国の言語・習慣・道徳などを取り入れてバイカルチュラル生活をすること、そして成長段階に応じた大まかなプランを立てることです。たとえば、言語に関しては、両親や家族が2か国語を話せるならば、家の中と外の言葉を分ける、または家族内で言語を分担して話すなどして、日常的にその言語と接する機会を作るとことです。もし、子供が学校で他言語を習っているとすれば、それを映画やテレビ、マンガや音楽などを通して接する環境を作ることもできます。そして、習慣や道徳は、体験を通して子供にとってわかりやすく、楽しく伝えられるのがベストです。我が家では、お正月のおせち料理からハロウィンのTrick or Treatまで年中それぞれの文化を行事を通して楽しみ、学校や地域の多文化体験教室にもたくさん参加しました。さらに、言葉を文化や習慣の一部として取り入るのも良い方法です。例えば、食事をする前後に日本語で「いただきます」「ごちそうさま」をいう習慣をつけ、その意味や文化を理解し身につけられれば、これぞ一石二鳥ですね。

最後に、親や教育者にとってなにより大切だと思うのは、成長段階に応じた大体のプランを立てることです。子供の成長にはいろいろなステージがあります。と同時に彼らはそれぞれの家庭の事情や取り巻く環境によって大きく影響されます。例えば、家で過ごす時間が多い幼少期と児童期は、家族内で言語を分担して話したり、行動範囲が広がり学習能力が高まった青年期には、週末を多文化・多言語環境で育つ家族やグループと一緒に過ごす時間を作ったり、さらに自立期には、子供を異国のお友達や家族に預けることもいいでしょう。それぞれの家庭に合った手段を子供の成長に沿って計画していくことをお勧めします。